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井口貴夫 ~「こちら側/向こう側」風がつなぐ境界~|8月のまちかどアートギャラリー

沼津さんさん通り沿い、吉野エージェンシー「まちかどアートギャラリー」の8月は、井口貴夫さんの「こちら側/向こう側」をお届けします。

7月に引き続き、薄く半透明な不織布を支持体とした作品を展示しています。前月の作品と同じシリーズでありながら、色や模様、空間の構成に変化を加えた、8月ならではの展示となりました。吊るし方や配置を調整することで、立体的な広がりがより際立ち、布と光が織りなす表情も一段と豊かになっています。

 

ガラス越しに重なる、二つの景色

さんさん通りに面した大きなガラス窓には、透ける素材の特徴を生かした作品が広がっています。

作品そのものの色や形に、ガラスの向こうの街並みや行き交う人の姿、光の移ろいが重なり、その時々で異なる景色が生まれます。外から眺めると、作品の「こちら側」と「向こう側」がゆるやかにつながり、窓と作品、街が一つの風景のように感じられます。

通りを歩きながら、見る位置や時間によって変わる表情をお楽しみください。

井口貴夫 ~「こちら側/向こう側」風がつなぐ境界~|8月のまちかどアートギャラリー 吉野エージェンシー 保険カンパニー

井口貴夫 ~「こちら側/向こう側」風がつなぐ境界~|8月のまちかどアートギャラリー 吉野エージェンシー 保険カンパニー

 

やわらかな境界がつくる空間

ギャラリー内では、不織布による作品が空間をゆるやかに隔てています。

向こう側を完全に隠すのではなく、光や色、気配をほのかに伝える柔らかな仕切りです。空調や人の動きによってわずかに揺れるたび、作品の重なりや見え方も少しずつ変化します。

大きな壁面鏡には作品の姿が映り込み、実際の空間と鏡の中の空間が重なります。どこまでが「こちら側」で、どこからが「向こう側」なのか。作品の間を行き来するような、奥行きのある展示となっています。

井口貴夫 ~「こちら側/向こう側」風がつなぐ境界~|8月のまちかどアートギャラリー 吉野エージェンシー 保険カンパニー

 

7月から8月へ、変わっていく風景

7月と8月の展示は、同じ素材をもとに構成されていますが、作品のデザインや配置にはそれぞれ違いがあります。

設営では、透け方や重なり方、外から見たときの印象を確かめながら、一点ずつ位置や向きを調整しました。光の入り方や鏡への映り込みによっても表情が変わるため、作品と空間のバランスを見ながら展示を組み立てています。

夏の光を受けて揺れる作品と、その向こうに見える景色。沼津のまちかどで、「こちら側」と「向こう側」の間に生まれる空間を、ぜひご覧ください

井口貴夫 ~「こちら側/向こう側」風がつなぐ境界~|8月のまちかどアートギャラリー 吉野エージェンシー 保険カンパニー

 

 

こちら側/向こう側

私たちの身の回りには、至る所に「境界」が存在します。地図上に引かれた線から、そびえ立つコンクリートの壁や有刺鉄線、あるいは現世と来世を隔てる三途の川に至るまで、その形は様々です。容易に越えられるものもあれば、一度越えてしまえば二度と戻れないものもあります。境界によって分けられた二つの世界は、心理的あるいは物理的に隔てられ、その度合いの大小にかかわらず、明確な仕切りが生まれます。
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この作品は昨年の夏にもここで展示されましたが、涼しげな雰囲気を醸し出すことから、再び展示する機会をいただきました。
不織布を支持体とし、アクリル絵具などを用いて制作した作品です。薄く半透明な素材であるため、展示の仕方によって表情が変わり、わずかな風にも優しく揺れ動きます。
「こちら側」と「向こう側」を区別する役割を果たしつつも、絶対的な障壁となるわけではなく、柔らかな仕切りとして機能します。空気が通り抜けるとき、二つの世界はつながり合います。あらゆる境界が、このように柔らかいものであってほしいと願っています。

THIS SIDE/THE OTHER SIDE
Boundaries exist all around us. They take many forms—from lines drawn on a map to towering concrete walls and barbed wire, or even the Sanzu River that separates this world from the next. Some can be crossed with ease, while others, once crossed, allow for no return. The two worlds they divide are separated—psychologically or physically—creating a distinct partition, however great or small the degree of separation may be.
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I have been asked to display this piece again—which was also exhibited here last summer—because it evokes a sense of coolness.
The work was created using acrylic paint and other materials on nonwoven fabric. Because the material is thin and translucent, its appearance shifts depending on how it is displayed, and it sways gently even in a light breeze.
While it serves to distinguish between “this side” and “the other side,” it does not create an absolute barrier; it acts as a soft partition. When the air flows through, the two sides are connected. I would love for all boundaries to be soft like this.

井口貴夫 ~「こちら側/向こう側」風がつなぐ境界~|8月のまちかどアートギャラリー 吉野エージェンシー 保険カンパニー

 

井口貴夫氏プロフィール

1959年静岡県沼津市生まれ。
1982年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。

【個展】1987年~1998年ギャラリーQ .+1/東京。2000年ギャラリーSOLなど。その後2020年まで発表活動を休止
⚫︎2020年12月DHARMA沼津(旧耕文社本社工場)から作家活動を再開し、21年三島信用金庫長泉支店さんしんギャラリー、みしまプラザホテル・ギャラリープラザ、22年ギャラリーARATA(富士宮)、23年芹沢光治良記念館ギャラリー(沼津)、ギャラリー時代屋富士山(富士)、24年沼津コート(ららぽーと沼津)、25年ボタニカ・アートスペース(静岡) 、ツインギャラリー蔵(浜松)など。

【グループ展・イベント】
⚫︎2021~2025年11月「原泉アートデイズ」、1月・6月の「ART CAMP」(掛川)参加。神社、ツリーハウス、森林公園、プール等にインスタレーション作品を展示。
⚫︎2024年8月「日本×バリ文化協働プロジェクト」に参加し、約1ヶ月現地滞在して、作品の制作・展示とバリ在住の作家と親善交流。(インドネシアバリ州ウブドARMA美術館)

【その他】
⚫︎1994年 天理ビエンナーレ’94 第14回天展 奨励賞/大阪市立美術館
⚫︎1995年 アクリラートスカラシップ奨学生/ホルベイン
⚫︎1996年 天理ビエンナーレ’96 第16回天展 準大賞/大阪市立美術館
⚫︎2022年4月~6月BankART AIR 2022 SPRING BankART Station (横浜)に参加 ※市営地下鉄新高島駅構内のスペースで滞在制作。

 

まちかどアートギャラリー 基本情報

会場:吉野エージェンシー(保険カンパニー)沼津店
住所:静岡県沼津市大手町3-9-21 ウィスティリア大手町 1階
アクセス:沼津駅南口より徒歩5分/さんさん通り沿い・沼津駅前通り沿い(路面展示)
展示期間:2026年8月
開館:24時間いつでも鑑賞可能(屋外常設・観覧無料)

 

 

まちかどアートギャラリーアーカイブ

井口貴夫 ~ 「涼」ゆらゆら風が通る~ 7月のまちかどアートギャラリー

伊豆石文化探究会展 6月まちかどアートギャラリー

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ともぞう展 12月まちかどアートギャラリー

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